会長挨拶
テラヘルツシステム応用推進協議会 挨拶
協議会会長 安藤 真

テラヘルツシステム応用推進協議会は、2018年にホームページリニューアルを行いますが、この機会に、協議会を代表し新年のご挨拶を申し上げます。
テラヘルツシステム応用推進協議会は、テラヘルツ技術をもとにしたシステム開発を促進し、早期の社会展開・産業化を実現することを目指し、民間企業などが発起人となり、平成27年9月29日に発足しました。当時、総務省の「電波資源拡大のための研究開発」において、テラヘルツ波デバイス基盤技術の研究開発を協働したメンバーを中心に、その成果の継承と社会実装・標準化を行う母体としてコンソーシアムが結成された経緯があります。現在では、通信事業者やメーカ、研究機関など6つの法人会員、および、6人の個人会員に参加いただき、新たな技術開発や社会展開に向けた課題検討、標準化活動、などの活動を行っています。
新しい周波数の開拓では常に、発生・検出デバイスの開発が普及の鍵となります。当初は、高分解性、透過性、分子との相互作用等、「テラヘルツ波ならでは」の特徴を生かした分析やセンシングへ向けた研究開発が進められました。既に医薬や半導体製造の分野で、テラヘルツ時間領域分光装置、非破壊イメージング装置や膜厚測定装置も実用化されています。その後、発生・検出素子、集積回路、増幅器など要素技術の実現と性能向上が進むにつれ、「テラヘルツ波でも代用できる」応用として、テラヘルツ帯無線が現実の開発目標に躍り出ました。その広帯域性から、次世代移動体通信の巨大システムの一部としてでも、ミリ波とともに、周波数の逼迫を解決する切り札として期待されています。テラヘルツシステム応用推進協議会は、これらテラヘルツシステム応用の情報交換の場として存在価値を高めています。
技術部会では2016年度にテラヘルツ無線の宇宙利用の可能性について検討を行い、その結果を、2017年8月に総務省「宇宙×ICTに関する懇談会」が公表した報告書に反映しました。電波であるテラヘルツシステムの実用化には、装置間の接続性や他システムとの共用を担保するため、標準化が必要です。標準化部会では、その見解をとりまとめ、日本の ITU-R への寄書 Technical Report に反映しました。
本協議会の設立に当たっては、経済産業界、学識経験者、官公庁等、産学官の幅広い分野からご参加ご支援頂きました。設立からほぼ2年を経過しましたが、テラヘルツ技術の産業化が確実に近づいていることが感じられます。協議会の自立を視野に入れて、テラヘルツ技術の普及に向けて今後ともさらに戦略的に活動していく決意です。今後共ご支援の程、よろしくお願いします。