テラヘルツシステム応用推進協議会

会長挨拶

テラヘルツシステム応用推進協議会 挨拶

協議会会長 永妻 忠夫

当協議会は、テラヘルツ技術のシステム応用を促進し、早期の社会実装や産業化を実現することを目指して、民間企業などが発起人となり、平成2015年9月29日に発足しました。安藤真(現東京工業大学名誉教授)初代会長のもと、当初は、総務省の「電波資源拡大のための研究開発」において、テラヘルツデバイス基盤技術の研究開発を協働したメンバーを中心に、社会実装に向けた技術成果の継承と国際標準化を行う母体として結成された経緯があります。間もなく8年を迎える現在、通信事業者やメーカ、研究機関など13法人会員、および、21名の個人会員にご参画いただいております。
当協議会が発足した2010年代は、テラヘルツ技術のシステム応用のための基盤技術において、テラヘルツ技術の実用化を加速する大きな進展がありました。それは、化合物半導体やシリコン系半導体を使った集積回路によって、イメージングシステム、分光システム、通信システム、あるいは発振器やフォーカルプレーンアレーといったキーコンポーネントが実現できるようになったことです。同時に、電子回路のみならず、レーザ、光変調器、フォトダイオード等の光コンポーネント・光回路との融合や集積技術も進んできました。
一方、我が国において、2020年3月から第5世代の移動体通信システム(5G)の商用化がスタートしましたが、海外では、2010年代の後半より、Beyond 5Gと称した、5Gの次の世代の研究開発やその標準化に向けた活動が始まりました。また、2019年10月に開催された世界無線会議(WRC-2019)では、「275-450GHzの周波数範囲で運用する陸上移動及び固定業務アプリケーションの主管庁による使用の特定」が行われ、テラヘルツ無線通信の実用化に対する関心が一段と高まりました。我が国でも、2020年12月にBeyond 5G推進コンソーシアムが設立され、100GHz~300GHz(サブテラヘルツ帯とも言う)の実利用についての議論が始まっています。加えて、情報通信研究機構が実施する「Beyond 5G 研究開発促進事業」が同年からスタートし、テラヘルツ技術に関する数多くの研究開発テーマを見ることができます。
以上のような経緯と情勢を鑑みたとき、当協議会がテラヘルツ応用システム技術の実利用の促進に対して果たすべく役割は、一段と大きくなっていると考えております。会員の皆様と、どこよりも正確でアップデートされた技術情報を共有し、技術課題の明確化や市場展開、標準化に向けた戦略について活発な議論を行いたいと思います。引き続き、経済産業界、学識経験者、官公庁ほか、産学官の幅広い分野からのご参画とご支援をお願い申し上げます。

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